第二十話「イービルスパイラル」

草原を歩く一同。
グミ「ホリィ、僕お腹すいた~。」
グミモンは、自分のお腹を押さえ、ホリィを見上げて言った。
モッチー「モッチーもすいたッチ~。」
ホッパー「ホッパ~。」
モッチーとホッパーも、それに続き、同じような格好で言う。
ホリィ「…そうね、じゃあ、そろそろお昼にしましょうか。」
ホリィが笑顔でそう言うと、一同は「やった~。」と声を上げて喜んだ。
サンダー「待って。」
そんな一同に、サンダーが真剣な顔つきで待ったをかける。
チョコ「どうしたの?サンダー。…もしかして、またワルモン?」
チョコモンは、キョトンとした顔でそう聞いた。
サンダー「うん。…グレイ達…みたいだね。30秒後に来る…かな。…(でも…何だろう…この感じ……胸騒ぎがする…とでも言うのかな…?)」
サンダーは、そう言った。

そして30秒後、サンダーの言った通り、ハーピー達が現れた。
ハーピー「今日こそ、サンダーを渡して貰うわよ!」
ハーピーは、ビシィッとサンダーを指差してそう言った。
アメ「へん!誰が渡すかよ!」
それに威勢良く言い返すアメモン。
グミ「ほ~んと、ハーピーって毎回毎回それ言ってるよね~。飽きないの~?」
グミモンは、嘲笑するかのようにそう言った。
ハーピー「フフフ…。今日の私達は一味違うのよ!…グレイ!!」
ハーピーは、嘲笑うようにそう言った。
グレイ「『マハラギ』!!」
グレイは、ハーピーの言葉に応じるように、一同に向かって大きな炎の玉を放った。
サンダー「『ブフ』!!」
サンダーはそう言い、炎の玉に向かって小さな氷の粒を放った。いつもなら、これだけでマハラギを打ち消す事が出来た。…だが、今日は違った。
サンダー「うあっ…!」
マハラギはいつもと違い、簡単にブフを飲み込み、そのままサンダーに当たった。
オルト「サンダー!…何で……。」
…そう言ったオルトの瞳は、戸惑いに揺れていた。
アメ「…いつもなら、打ち消せられたのに…。」
アメモンは、驚いてそう言った。
サンダー「違う…グレイじゃない……いつものグレイじゃない…!」
怯えるように、叫ぶように、戸惑うように、サンダーはそう言った。
チョコ「…!見て、グレイの腕!!イービルスパイラルが付いてる!!」
チョコモンは、グレイの左腕を指差してそう言った。
一同「え?!」
チョコモンの言葉に、一同がグレイの左腕を見ると、そこには黒い3つの輪っか(腕輪?)が着いていた。
『マハラギ』準備中のグレイ
グミ&アメ「ホントだ…イービルスパイラルが…!」
グミモンとアメモンは、その黒い輪っかを見て、そう言った。
ハーピー「そうよ。…これでもうグレイは私達の言いなり。私達が命令すれば、どんな事だって聞くのよ。…でも、サンダーがワルモンに入るって言うなら、グレイを解放してあげるわ。」
ハーピーは、くすくすと笑いながらそう言った。
その言葉に、サンダーは悩み、俯いて押し黙る。
ギンギライガー「…要は、グレイは人質…という訳か?」
ギンギライガーは、ハーピーを睨んでそう言った。
ハーピー「……考えようによっては、そうなるわね。」
ハーピーは、そう答える。
ライガー「卑怯な真似を…!」
ライガーは、ハーピーを睨みつけてそう言った。
ハーピー「何とでも言いなさい。…ただし、決めるのはサンダーよ。」
ハーピーは、嘲笑うようにそう言った。
一同「サンダー…。」
一同はサンダーに答えを求めるようにそう言った。
サンダー「……おれは…………おれは、そんな罠には引っかからない!」
サンダーは、顔を上げてそう言った。
ハーピー「…そう、じゃあ貴方のお兄さん達みたいに、兄弟で殺しあうがいいわ!グレイ!!」
ハーピーは、さもつまらないと言うような顔をしてそう言った。
グレイ「『マハラギ』!!」
それに答え、サンダーに向かってマハラギを放つグレイ。…サンダーはそれを、ギリギリの所で避ける。
サンダー「グレイ・・・・。」
サンダーは、悲しそうな顔でそう言う。…そこにグレイは、容赦なくマハラギを撃とうと構える。
オルト「『アギ』!」
グレイに小さな火の玉を放ち、オルトはグレイが放とうとしているマハラギを阻止した。
オルト「…大丈夫か?サンダー。」
オルトは、サンダーに駆け寄ってそう言った。
サンダー「オルトロス……うん、大丈夫。…ありがと、ちょっと、落ち着いたよ。」
サンダーは、落ち着いたようにそう言い、えへへ、と笑った。
チョコ「…サンダー、どうするの?……やっぱり…戦うの?」
チョコモンは、心配そうな顔をしてそう言った。
サンダー「…それしかないだろ。………それとも、逃げる?」
サンダーがそう言うと、一同は口をつぐんだ。
ゲンキ「逃げる、か。……一旦そうするか。」
ゲンキはそう言って、一同に同意を求めた。…すると一同は、同時に頷いた。…ただ、サンダーを除いて。
ゲンキ「よし、逃げるぞ!」
ゲンキのその言葉を合図に、走り出す一同。…サンダーは一瞬戸惑ったが、そのまま一同の後について行った。
ハーピー「グレイ!追いなさい!」
ハーピーがそう言うと、グレイは一同の後を追い、走って行った。

…で、走っている一同。
グミ「ど~すんのさ~。グレイ、追ってくるよ~?!」
グミモンは走りながら、わめくようにそう言った。
オルト「そりゃ、みすみす逃すような事はしてくれないだろうさ。」
オルトは、走りながら苦笑してそう答えた。
サンダー「でもグレイ、持久力ないから…そのうちバテるよ。」
サンダーも、走りながらそう言った。
アメ「けどさ、バテるって、どんくらいでだよ。」
サンダー「さぁ?…そこまでは知らない。」
アメモンの問いに、サンダーはそう答えた。
アメ「・・・・無責任だな、お前。」
アメモンは走りながら、呆れるようにそう言った。
ゲンキ「そうだ、スエゾー!テレポートだ!!」
ゲンキは、走りながらそう提案した。
スエゾー「せやな!せやったら…」
サンダー「スエゾー!…グレイから隠れるなら、上に逃れるのが一番良い!」
サンダーは、スエゾーの言葉を遮ってそう言った。
スエゾー「そうなんか?…よっしゃ、せやったら…『テレポート』!!」
スエゾーがそう言うと、グレイの目の前から一同の姿が消えた。
…グレイは、しばらく辺りを探していたが、しばらくしてそれを諦め、ハーピー達のもとに戻った。



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